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労働問題に関する法律知識

最低賃金が変更されました!最低賃金を満たしているか、就業規則・賃金規程をチェックしてください。

最低賃金のルール

平成28年10月より、各都道府県の最低賃金が改訂されました。

最低賃金の改定は、毎年行われますが、年々最低賃金は増額されています。

そのため、最低賃金ぎりぎりの給与で雇用している従業員がいる場合には、給与額の見直しが必要となります。

最低賃金は、どのような業種であっても、すべての会社に強制的に適用されます。

労働者との間で、最低賃金を下回る給与を合意していたとしても、その合意は無効となり、最低賃金を上回る基準の給与を支払わなければならないという強制的なルールです。

万が一、最低賃金を下回る給与しか支払っていなかった場合、労働者が会社に対して最低賃金分の給与支払いを要求する場合には、その差額を支払わなければならず、会社の潜在的なリスクとなります。

最低賃金のルール

最低賃金のチェックの仕方は、それぞれの労働者がどのような方式で給与の支払を受けているかによって異なります。

時間給制の最低賃金のケース

最低賃金は時間給で定められていますから、労働者に対して時間給で給与を支払っている場合には、その時間給と最低賃金の金額とを比較すればよく、容易にチェックが可能です。

支払っている時間給が最低賃金を下回る場合には、その差額を支給する必要があります。

日給制の最低賃金のケース

日給制で給与を支払っている場合には、支払っている日給を、1日の平均所定労働時間で割って、平均時給を算出することが必要となります。

平均時給が最低賃金を下回っていないかどうかをチェックし、下回っている場合には、その差額を支給する必要があります。

月給制の最低賃金のケース

月給制で給与を支払っている場合には、1か月の平均所定労働時間を算出し、月給を平均所定労働時間で割ることによって、平均時給を算出します。

この平均時給が、最低賃金の金額を上回っている場合には、最低賃金法違反は生じません。

なお、1か月の平均所定労働時間は、1年の所定労働時間の合計を、年間の総労働時間を12分割した時間で割ることによって計算します。

最低賃金の今後の動向

最低賃金は、年々上昇しています。

このまま、1000円程度の最低賃金までは、上昇する可能性もありますから、動向を毎年注視しておいてください。

特に、都市部においては、最低賃金の増額幅が大きい傾向にあります。

万が一最低賃金を下回る給与しか支払っていない場合には、施行日までに昇給することを検討する必要があります。

残業代を労働審判で請求したが、その後訴訟で満額回収に至ったケース

退職後に残業代の未払い分が発覚

相談者のAさんは、ベンチャー企業に勤めて2年、次の仕事へのキャリアアップのために退職したばかりでした。

会社ではシステムエンジニアとして働いていましたが、ベンチャー企業であったため、昼夜を問わず必死に働き、やっと会社の事業を軌道に乗せたところでした。

会社で働いていたときは必死であったため、お金のことは無頓着でしたが、その後、会社は、Aさんの軌道に乗せた事業が大当たりし、上場の準備を進めているということでした。

Aさんとしては、労働法に従って計算すれば、明らかに未払いの残業代が多く発生すると考えたことから、納得がいかず当事務所へ相談することとなりました。

未払い残業代が発生することは明らか。証拠は?

Aさんのご相談内容を聞いた時点で、未払いの残業代が発生することは明らかでした。

Aさんの勤めていた会社はベンチャー企業であり、リーガルリスクをおろそかにしていたことから、契約書や就業規則なども全く存在せず、残業代を支払わなくてよい理由は全く見当たりませんでした。

しかしながら、労働時間の管理も、会社は全く行っておらず、タイムカードなども存在しなかったことから、労働時間を立証する証拠を収集、検討しなければなりません。

幸い、Aさんはシステムエンジニアでありパソコンに詳しく、会社パソコンのログイン、ログアウトの履歴を、退職時にすべて保存していました。

Aさんのように、常に会社でのオフィスワークであり、パソコンを使用した業務ばかりである場合には、パソコンの履歴が実労働時間を示す有力な証拠となるケースがあります。

任意交渉、労働審判では決着がつかず

さっそく、Aさんから預かったパソコンの履歴をもとに、当事務所で未払いの残業代を計算し、内容証明で会社に請求しました。

しかしながら、会社は任意の交渉に全く応じてこず、労働審判での話し合いも非常にざっくりとした雑なもので、Aさんの満足のいくものではありませんでした。

労働審判は、早期解決というメリットがある反面、期日が原則として3回しか行われず、しかも、事実認定は最初の1回で行われることがほとんどである上、和解による譲歩を前提としている制度です。

そのため、残業代の請求など、証拠が多くなり、しかも、細かくすべてを見て認定を行ってほしい場合には、必ずしも労働審判のみで決着がつくとは限りません。

訴訟により、労働時間を認定し、勝訴

労働審判での労働審判委員の出した和解案は、会社側が譲歩できる額に寄せて和解をまとめようとする円満なものであり、残業代がすでに働いた分の賃金の未払いであることを考えれば、到底納得のいく金額ではありませんでした。

そのため、審判に対して異議申立をし、訴訟に移行しました。

訴訟では、労働審判とは異なり、証拠の量や期日の回数に制限はありませんから、実労働時間を、証拠に基づいて丁寧に認定していくこととなります。

数度の調整の結果、おおむねパソコンの履歴を前提とするこちらの計算に即した実労働時間を認めるとの心証をもらい、満額に近い額での和解が成立しました。

労働審判で解雇無効との判断、解決金を勝ち取ったケース

理由なく突然の即日解雇、出社拒否のご相談

ご相談者のAさんは、ある会社に10年以上勤めあげ、会社内でもそれなりのポジションを築き上げ、仕事にもやりがいを感じていました。

しかしながら、ある日突然、社長から、「明日から出社しなくてもよい。お前の席はない。」と一方的に伝えられました。「これは解雇ということですか?」と聞き、解雇である場合には理由を聞きたいといったところ、「明日から来なくてもよいということだ。」というのみで、質問に対する回答は得られませんでした。

Aさんは、入社して以来、一筋に会社のために努力し、貢献してきたとの自負もあることから、あまりに理不尽で一方的なこの通告に納得がいかず、当事務所に相談に来られました。

解雇なのか?

解雇とは、労働契約を、会社側から一方的に解約することをいいます。

このケースでは、明示的に「解雇」とはいわれていないものの、その実態を見れば、Aさんは働きたいと考えており、働くことに何の支障もないにもかかわらず、会社から一方的に「来なくてよい」と伝えているわけですから、その実質は「解雇」であると評価してよいでしょう。

任意の交渉を試みたけれども・・・

ご依頼を受けてすぐに、会社に対して、弁護士名義での内容証明郵便を送り、次の点を主張しました。

・ 解雇は無効であり、Aさんは今でも従業員であること
・ 出社の命令があればすぐに仕事をすること
・ 賃金の請求権があること
・ 一方的に出社を拒否するのであればこれは解雇であること
・ 解雇である場合には、解雇の理由を書面で交付すること

以上の要求は、会社から一方的に解雇された場合には、まず行わなければならない必須の対応です。

しかしながら、会社はこの内容証明に対して、「会社に会わないから解雇とした。解雇は有効であるから特に対応をする気はない。」とだけ回答し、その後連絡がとれなくなってしまいました。

労働審判による解決

会社が、誠実に話し合いを行う態度を示さなかったため、これ以上任意交渉の試みを継続しても無意味であることをAさんに説明の上、労働審判の申立を行いました。

労働審判とは、訴訟よりも簡易かつ迅速な手続きで労働問題を解決するために設けられている制度です。

概ね、平均審理期間は70日(およそ2~3か月程度)程度、期日は原則として3回までとされ、早期の解決が期待できます。

また、原則として話し合いを重視する制度であり、お互いの譲歩によって法律だけではない柔軟な解決が可能な点が特徴です。

この労働審判においては、会社側もこれに応じて争いましたが、Aさんに特に解雇となるに十分な理由が見当たらなかったことから、労働審判委員の心証は、Aさん有利、解雇は無効、という内容でした。

これを受け、会社側も譲歩を検討し、一方でAさんとしても、長年貢献してきたにもかかわらずこのような不遇な仕打ちをされたことに不信感を感じ、もはやこの会社に残っての解決は考えられない、という結論に達しました。

そのため、労働審判での話し合いの結果、「退職を前提として、月額賃金の1年分を解決金として支払う」という内容で、和解による解決となりました。

会社・上司・役員の悪口、誹謗中傷をネットに書き込み、懲戒解雇となったケース

会社への不満をネットに書込み誹謗中傷したケース

会社への不満、上司、役員、社長の悪口などをネット上の掲示板に書き込み、会社の評判を下げたという理由で懲戒解雇となった場合、懲戒解雇は有効でしょうか。争うことができるのでしょうか。

懲戒解雇は、解雇権濫用法理の制限を受けるため、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければ、無効となります。

今回のケースで、懲戒解雇の有効性を判断するにあたっては、次の事情を総合的に検討する必要があります。

・ 誹謗中傷の内容
・ 誹謗中傷や悪口の書込みの頻度
・ 書込みの内容が真実であるか
・ 書込みによる会社への影響の大小
・ 誹謗中傷の書込みを行った動機
・ 誹謗中傷行為の悪質さ

また、懲戒解雇とする場合には、就業規則に懲戒理由の記載があることが必要ですが、会社の名誉、信用を傷つける行為は、就業規則において懲戒理由として記載されていることが一般的です。



業務時間外に行われた行為に対する懲戒解雇

次に、会社への誹謗中傷行為が、業務時間外、すなわち、私生活において行われた場合に、この従業員の行為に対する懲戒解雇が有効であるかが問題となります。

原則として、会社が労働契約、就業規則によって従業員を規律することができるのは、業務時間内のみであると考えます。懲戒解雇をはじめとした懲戒処分は、企業秩序を侵害する従業員の行為に対して行われる処分であって、企業秩序を侵害する行為は、業務時間内に行われる行為が中心です。

しかしながら、業務時間外、すなわち、私生活においても、企業秩序を侵害する行為を行うことができ、その限りでは、業務時間外の行為であっても懲戒処分の対象となり得ます。

・ まず、職場外で行われたとしても、業務に直接関連する行為であれば、懲戒解雇の対象となります。
  たとえば、取引先に営業に行った際に行った発言や行為、仕事の後に行われた歓送迎会で行われたセクハラなどは、会社内で行われた行為ではないですが、業務に関連する行為であるため、懲戒処分の対象となります。

・ 次に、会社の名誉、信用に悪影響をもたらす発言、行為は、業務に直接関連する行為でなくても、懲戒処分の対象となります。

  今回の会社、役員、社長に対する誹謗中傷、悪口といった行為は、業務に関連する行為ではありませんが、会社の名誉、信用に悪影響をもたらす行為として懲戒処分の対象となる可能性が高いといえます。



懲戒処分だけでなく損害賠償のリスクもある

会社の名誉、信用を棄損した場合、懲戒解雇の対象となる可能性があることは既に解説した通りですが、これに加え、その誹謗中傷行為によって会社が損害を負った場合には、損害賠償請求を受ける危険もあります。

たとえば、会社の名誉を棄損する書込みをネット上で行ったことにより、それを見た取引先が、その内容を信じて会社との継続的な取引を打ち切ったという場合です。



ネット上の書込みに匿名性はない

ネット上の書込みをハンドルネームで行う場合、自分の氏名が表示されないことから、匿名であると勘違いしやすいものです。

しかしながら、IPアドレスをたどるといった方法によって、最終的には誰が書き込んだかを特定できるケースもあります。会社が弁護士に依頼してIPアドレスの開示請求などを行い、責任追及をされるおそれがあるため、匿名であっても不用意な書込みは禁物です。



従業員は、会社に対して秘密保持義務を負っている

従業員は、会社の秘密を保持する義務を負っています。

この秘密保持義務は、雇用契約の期間中は、雇用契約に付随する義務として、雇用契約書や就業規則に記載していなかったとしても当然負うものです。

したがって、会社の従業員であるために知り得た情報を、正当な理由なく外部に口外した場合には、会社からその責任追及を受けることとなります。



上司・部下の立場を問わず、人格攻撃はパワハラとなる可能性

「パワハラ」というと、上司から部下に対して行われるケースが一般的です。

しかし、パワハラは、必ずしも上司から部下に対して行われるものに限らず、同僚同士や、部下から上司に対して行われるものも含みます。

したがって、部下から上司に対するものであっても、人格否定的な誹謗中傷、悪口は、パワハラに該当するおそれがあります。

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